素材でわかるキャスターの選び方

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エレクターシェルフには、オプションでキャスターが取り付けられます。スーパーエレクター・シェルフの打ち込みキャスターの種類は、素材によって7つあります。素材ごとに特性が異なるため、用途に合う素材のキャスターを選びましょう。耐荷重の計算方法もご紹介。知っていると役に立つ、キャスター選びの基礎知識をご紹介します。

耐荷重の見方

まず、通常のキャスターの耐荷重は、平坦な床を人力で動かすことを前提としています。斜面で引き上げる、別の車両で牽引するという場合は、キャスターにかかる負荷が異なるので専用品を選びます。
エレクターシェルフは車両での牽引を前提としていないので、牽引用キャスターの取り扱いはありません。このページでは、平坦な床での使用を前提としてご紹介します。

耐荷重の計算方法

キャスターを4つ取り付ける場合、移動させることを前提にした積載できる荷物の上限は、キャスターの荷重×個数に0.8をかけた数字と考えます。
これは、床面に傾斜や凹みがあった場合、キャスターの一つが浮いてしまい、3点で荷重を受け止める可能性があるからです。
あらかじめ総荷重が決まっている場合は、キャスターの耐荷重は25%プラスしたものを選びます。
また、耐荷重は棚自体の重さも含まれることに注意が必要です。

耐荷重の計算方法

動かしている時、停止している時で耐荷重が違う

キャスターの耐荷重には、動荷重と静荷重の2種類が記載されています。動荷重は動かした状態を、静荷重は動かさない状態を想定した耐荷重です。
静荷重は、動荷重の約2〜3倍の重量を積載することができます。
よって、動かす時には、積載量を減らすなど使い方で調整することもできます。

移動による耐荷重の違い

直径による違い

キャスターの直径は、大きいほど軽い力で動きます。ころがり摩擦の大きさは、車輪の直径に反比例するためです。同じ重さなら、車輪の直径が2倍になると摩擦力は半分になります。
頻繁に動かしたり、長距離を動かしたりする台車やシェルフには、小径のキャスターは不向きです。

キャスターの「取り付け高さ」を忘れないで

シェルフ全体の高さは、ポールの高さ-ポール脚部+キャスターの取り付け高さになります。シェルフのサイズだけで設計し、天地に余裕がない場所に設置しようとすると、組み立てたものの起こせない……なんてことが起こります。
意外と、キャスターの取り付け高さを見落としてしまうのでご注意ください。

キャスターの直径による違い

車輪の素材による違い

1【ゴム】凹凸のある路面でも、滑らかに走る

長所・特徴

弾力性に富み、多少凹凸があっても滑らかに走行できます。汎用性が高く、最も広く使われているキャスターです。
床へのマーキングが起こりやすいですが、グレーゴムを選ぶと低減できます。
室温- 40~80℃に対応。

ゴムは、長時間荷重をかけると歪みが起きる性質があります。
耐油性(油による変質のしにくさ)がなく、微量な塵が発生します。油が付きやすい場所、クリーンルームでの使用には向きません。

向いている場所

工場、病院など幅広い
床面の凹凸が気になる場所

  • ゴムキャスター

2【ウレタン】多少の弾性もあり、油にも強い

長所・特徴

ゴムと比較して硬い素材です。耐摩耗性が高く塵が出にくい特長があります。また、抵抗が少なく始動が軽いです。ウレタンはナイロンと性質が似ていますが、ナイロンよりはやや弾性があります。
ウレタンは耐油性に優れるのも特長です。室温- 20~85℃に対応。

デメリットは少し価格が上がること。
また、国産のウレタン車ではあまり聞いたことがありませんが、海外製では加水分解(水と反応して分解する)が起きた事例があります。素材の性質上、加水分解の可能性があるため、スーパーエレクター用のキャスターは、加水分解防止グレードの素材が使われています。念のため、常に床が濡れているような場所での使用は避けた方が無難です。

向いている場所

工場、クリーンルーム
床面を汚したくない場所

  • ウレタンキャスター

3【ナイロン】綺麗なまま、丈夫で長持ち

長所・特徴

ナイロンは、弾性がなく硬く軽量な素材です。硬い分、始動性がよく重い荷物も動かしやすい特長があります。
また、強度が高く、耐摩耗性、耐油性、耐食性に優れ、水や薬品で変質しにくいです。見た目にも綺麗なまま長持ちします。
室温-40℃〜70℃に対応。

ただし、硬いということは床面の凹凸の衝撃を伝えやすいということ。弾性のある車輪と比べると、大きな音が出てしまいます。騒音を避けたい場所には向きません。

向いている場所

食品工場、港湾などの水洗環境
床面が平らな場所
薬品を扱う工場など

  • ナイロンキャスター

4【エラストマー】ゴムの欠点をカバーする素材

長所・特徴

エラストマーは、ゴムより軽くて着色しやすい樹脂です。
弾性があり、凹凸の衝撃を吸収しますが、ゴムよりもマーキングが起こりにくいのが特長です。
耐候性、耐油性、耐薬品性に優れるので、ゴムのようでありながらゴムの欠点をカバーする車輪です。
一般的なエラストマーは、ゴムほどの弾性はありませんが、エレクターの扱うエラストマー車輪はゴムに近い柔らかさです。

室温-40℃〜80℃に対応。

ゴムより耐油性があるとはいえ、油との接触は短時間を前提としてください。長時間油に触れる環境では、油成分を吸って膨張することがあります。

向いている場所

水、薬品、油を使う工場
床面を汚したくない場所

  • エラストマーキャスター

5【MCナイロン】重さに耐え、変形しにくい

長所・特徴

MCナイロンとは、モノマーキャスティングナイロンのこと。
ナイロンと同じく弾性はありませんが、硬いけれど耐衝撃性を持つという素材です。そのため、ナイロンよりも大きな荷重に耐えます。
耐油性、耐摩耗性に優れます。特に、耐薬品性と耐熱性は抜群です。
室温-10℃〜150℃に対応。

欠点はナイロンと同じです。弾性がないので、動かした時に騒音が発生しやすいです。

向いている場所

水、薬品、油を使う工場
食品工場、港湾などの水洗環境
床面が平らな場所
重荷重を運搬が必要な場所

  • MCナイロンキャスター

6【フェノール】180℃の高温に耐える

長所・特徴

剛性の高い素材なので、長時間負荷がかかっても変形しにくいという特徴があります。
耐乾熱性、耐油性、耐水性に優れるので、様々な環境下で使うことができます。特に温度変化に強く、エレクターで扱うキャスターの中では最も高温に耐えることができます。

室温-40℃〜180℃に対応。

硬い素材のため、ナイロンと同じく凹凸面での走行には不向き。騒音も出ます。
また、硬いゆえに割れやすく、衝撃には弱いというデメリットがあります。

向いている場所

高温の炉内など。

  • フェノールキャスター

7【導電性ゴム】帯電厳禁の場所に

長所・特徴

本来絶縁体であるゴムに、電導性のカーボンを配合した素材。粉塵も吸着しにくく、帯電防止に優れるため、半導体工場で広く使用されています。
静電気に弱い精密機器を取り扱う場所では、こちらをご使用ください。
室温-40℃〜80℃に対応。

向いている場所

クリーンルーム
IC、電子部品、医療機器工場

  • 導電性ゴムキャスター

選択が難しい場合は、お手伝いします

どのキャスターが適しているのか、選択が難しい場合はお気軽にお問い合わせください。
使用環境、想定している耐荷重などをお伺いして、適したキャスターをご案内いたします。

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