業務用スチールラック「スーパーエレクター・シェルフ」が丈夫で錆びにくい理由
エレクターの「スーパーエレクター・シェルフ」は、業務用ラックのパイオニア。少し値段は高いですが、世界のプロユースに応えてきた品質は折り紙付きです。ここでは、強度や錆びにくさについて解説します。
スーパーエレクター・シェルフが、物理的に強い理由
重力を強度に変える。世紀の大発明!
4本のポールに穴の開いた棚板を通し、テーパーを噛ませて固定する。スチールラックの構造は今では見慣れたものですが、当時は画期的な発明でした。
これは、1969年にアメリカの技術者ルイス・マスローが開発したもの。従来の棚は、棚板にかかる下への力を横から支える構造です。棚の強度は、棚板と側板との接合強度次第。木材のほぞ組み、金属の溶融接合など、部材の強力な接合方法はいろいろあります。しかし、結局強度を上げるには板厚を厚くせざるを得ませんでした。
ルイス・マスローが考えた構造は、棚板にかかる荷重そのものが堅牢さを生み出すというもの。まさに画期的なアイデアです。これにより、従来の棚とは比較にならない耐荷重を実現しました。
棚板には橋と同じ構造が採用された
ルイス・マスローの考えた構造を実現するには、曲がらないポストと棚板が必要です。円柱のポストは構造的に高い強度を持っているので、問題は棚板の方。
ルイス・マスローは、ワイヤーの接合による橋梁構造を取り入れました。
橋の構造にはたくさんの種類があります。マスローが採用したのはトラス橋構造。関西国際空港連絡橋(3,750m。世界最長)に使われているのと同じものです。
これなら長い距離を架け渡すことができ、同じ重さの金属を板にしたものとでは比べものにならないほどの強度が得られます。
脅威の耐荷重、250㎏
こうして得られた耐荷重は、棚板1枚あたり250㎏(※)。4枚の棚板を付けたスーパーエレクター・シェルフなら、棚の受けられる総荷重は1トンになります。
過去にエレクターでは、これをアピールするために下のような広告写真を作ったことがあります。大変なインパクトでした。
※スーパーエレクター・シェルフの耐荷重。家庭用に作られたホームエレクターは、耐荷重135㎏。
触れ合うところはすべてスポット溶接
ワイヤーの接合点は、すべてスポット溶接されています。
スポット溶接とは、二つの部材に電流を流し、その接する部分に発生する熱で母材を溶かして接合する方法。ハンダ付けのように別の金属を接着剤のようにして付けるのとは違い、母材自体が溶接されています。だから、滅多なことでは外れません。
工場では度々落下試験が行われています。高所から棚板を落として、溶接が外れないことが確認されます。
スーパーエレクター・シェルフが、錆にくい理由
ポールはステンレス製だけというこだわり
スーパーエレクター・シェルフのポールは、SUS304というステンレス材。いわゆる18-8ステンレスのことで、耐食性に優れていることから、医療機器やカトラリーなどによく使われます。
家庭向け製品のホームエレクターでも、ポールはステンレス製(カラーを除く)です。
基本スペックがあらかじめ高めに設定されているのは、業界のプロフェッショナルのみならず、家庭でも求められる耐久性に応えてのことです。
多層めっきとクリア塗装仕上げ
スーパーエレクター・シェルフの5つの下処理を経た母材は、11の工程を経て、ニッケルめっきやクロームめっきなど三重のめっきが施されます。
仕上げは塗装。抗菌効果のあるクリア塗料を用いて4枚目のベールがかけられます。
このように何重にも覆われ、スチールが空気に触れないので、錆びにくいのです。